夏季休業のお知らせ

夏季休業のお知らせ

 誠に勝手ながら、令和2年8月11日(火)から8月14日(金)までを夏季休業日とさせていただきます。
 期間中、ご不便をおかけしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

                                                      渡辺橋法律事務所 一同

update : 2020/08/05 | お知らせ

改正民法2 -保証-

 2020年4月1日に施行された改正民法より、第2回目である今回は、「保証」に関する主な変更点を取り上げます。


1.事業のための貸金等債務を保証する場合の公正証書作成

 金融機関から事業資金を借り入れる場合、人的担保として保証人を要求されることがあります。
 このような場合で、個人(ここでは法人ではないという意味で用います。以下同じ。)が保証人となる場合、2020年4月1日からは、保証契約に先立って、公証人による保証人の意思確認手続が義務付けられるようになりました。
 具体的には、事業のための貸金等債務個人が保証する場合、保証契約の前1か月以内に公証人によって作成された「保証意思宣明公正証書」がなければ、保証契約の効力が生じないというものです。
 個人が保証のリスクを十分自覚せず安易に保証人になることを防止する趣旨の規定です。

 主債務者が法人である場合の取締役や理事、過半数株式を有する者等が保証人になる場合や、主債務者が個人である場合の共同事業者や現従配偶者等が保証人になる場合など、一定の場合はこのような手続は必要ありません

 法人の事業資金借り入れにおける保証の場合、多くのケースが取締役や大株主を保証人としているでしょうから、今回の変更によって実務にあまり大きな影響はないかもしれませんが、個人事業主が事業資金を借り入れる場合の保証人については、比較的大きな影響があるものと思われます。


2.個人根保証における極度額の定め

 一定の範囲内に生じる様々な債務(不特定の債務)を担保するための保証を「根保証」といいます。
 身近な例では、たとえば、家や事務所を借りる場合の保証人は、賃貸借契約から生じるあらゆる債務(家賃の支払、原状回復、建物の返還など様々な債務)を保証することとなります。このような保証は「根保証」です。
 取引基本契約などにおいて保証人を定める場合も、一定期間の間に成立した取引に関する様々な債務を保証するものですから、これも「根保証」です。
 他方、たとえば他人から100万円を借りる場合の保証人については、「100万円を返済する」という特定の債務しか保証しませんから、「根保証」ではありません。

 この根保証を個人で行う場合の個人根保証について、改正民法においては、極度額(保証範囲の上限額)を定めなければその効力が生じない(無効)と規定されました。

 不動産の賃貸借契約や取引基本契約等、継続的な契約において個人が根保証しているケースは多いですから、これは実務上非常に大きな改正です。
 今後、個人根保証契約時にこのことを忘れて極度額を定めなかった場合、保証契約そのものが無効となってしまいますので、十分な注意が必要です。


3.連帯保証人に生じた事由

 連帯保証人に生じた事由が主債務に影響するか否かという点について、改正民法では、連帯保証人の「更改」「相殺」「混同」のみ主債務に影響すると規定しており、従来ここに含まれていた連帯保証人への「履行の請求」は相対的効力しか有しない(要するに主債務に影響しない)とされました。

 この改正は、時効管理のうえで非常に重要な改正です。

 もっとも、債権者及び主債務者が特約によって定めた場合はその定めが優先されるとも規定されていますから、債権者としては、連帯保証人に対する履行請求は主債務者にも効力が生じるとなどと特約で規定しておけば、従前どおりの運用で足ります。


4.情報提供義務

 改正民法では、保証人保護のために、様々な情報提供義務の規定が設けられました。
 ①委託を受けた保証人の請求があった場合の債権者による情報提供義務、②保証人が個人である場合で主債務者が期限の利益を喪失した場合の債権者による通知義務、③保証人が個人である場合で事業のために負担する債務を主債務とする場合の主債務者による情報提供義務などがあります。
 ①②は債権者が主体となっていますが③は主債務者が主体であることに注意が必要です。

 ②に違反した場合は遅延損害金の一部が請求できなくなり、③に違反した場合は保証契約の取消事由となり得るものですから、これらの情報開示は非常に重要な義務といえます。

                                                        弁護士 白井一成

update : 2020/04/23 | コラム

新型コロナ対策としての在宅勤務(リモートワーク・テレワーク)や休業命令に関する労務管理上の注意点

 新型コロナウイルスの感染拡大防止から、当事務所が所在する大阪では、目下、緊急事態宣言の適用を受け、様々な施設が営業自粛等を強いられています。
 今回は、会社(使用者)における新型コロナ等の疾病対策としての、従業員への在宅勤務及び休業命令に関する注意点について少しご説明します。

1.大前提 安全配慮義務

 会社は従業員に対して安全配慮義務を負っています。
 安全配慮義務とは読んで字のごとく、安全に配慮する義務です。この場合の従業員とは、正社員、アルバイト、パート、派遣などの職種を問わず、会社と契約を締結して労務を提供している者全てを含みます。
 たとえば、会社が、新型コロナウイルスの感染者であると判明している者を出勤させ、そのため周囲の従業員に感染が広がってしまった場合、会社はこれによって感染した従業員に対する安全配慮義務違反となります。
 また法的責任のみならず、社会的責任も追及され、多大な影響をもたらすことは明らかです。
 会社には、すくなくとも自己の支配が及ぶ範囲においては、感染拡大防止に向けた対策を行う義務があります。

2.対策その1 在宅勤務(リモートワーク、テレワーク)

 従業員を出勤させず、自宅やその他の施設において就業させ、物理的に隔離することで従業員間の感染拡大を防止するという方法があります。
 これは、就業場所を会社事務所ではなく自宅やその他の施設に変更するだけですから、当然、従業員は就労の義務を負い、会社は賃金の全額を支払う義務があります。
 従業員は、所定労働時間中は(休憩時間を除いて)自由に行動することが許されませんし、会社からの指示連絡等には直ちに応答しなければなりません。
 会社としては、従業員の就業場所を自宅等にしたとしても労務管理義務を免れるわけではありませんので、たとえば従業員に始業時と終業時にメールを送信させるなどの方法により、通常の勤務時と同様、従業員の就業時間(残業時間)を客観的な方法で管理する必要があります

3.対策その2 休業命令(就労拒否)

 感染が判明している又はその疑いがある従業員について、そもそも就業させず、休業を命じることで、当該従業員本人の安全に配慮するとともに従業員間の感染拡大を防止するという方法もあります。
 休業命令は、ケースによっては少し難しい問題が生じます。

(1)信頼できる検査により従業員の感染が判明した場合

 この場合、会社は、安全配慮義務に基づき、当該従業員の就労を拒否し、休業を命じる必要があります。
 ではこの場合、従業員が仕事をしていない期間の賃金はどうなるでしょうか。   
 不就労(仕事をしていないこと)の場合の賃金について、法律は、大きく以下のとおり定めています。
    ①労働者(従業員)の責に帰すべき事由による不就労
      賃金支払いの必要なし
    ②使用者(会社)の責に帰すべき事由による不就労
      休業手当の支払いが必要=60%以上の賃金支払いが必要
    ③どちらの責に帰すべきでもない事由による不就労
      賃金支払いの必要なし
 上記のうち、①は当然のことであり、②は労働者の生活保障という趣旨から設けられた休業手当という制度であり(労基法26条)、③は、賃金は労務提供の対価であるという性質から、労務提供がない以上賃金支払いの必要なしという、いわゆるノーワークノーペイの原則に則ったものです。
 従業員の感染が確定している場合、どちらの責任でもなく従業員は就業できない状態にあるわけですから、この場合の賃金は、上記③の場合に該当し、会社は賃金を支払う必要はないと考えられます。
 (※もちろんその期間、従業員は有給休暇を利用することができますし、有給休暇を利用した場合、会社は賃金全額を支払う必要があります。以下同じ。)

(2)従業員の感染が疑われる場合

 ア.政府等が定める基準に該当する場合

  この場合は、(1)に準じて、会社は就労を拒否し、休業を命じる必要があると考えられます。
  ただ、このときの賃金支払いの必要性は、難しい問題です。
  私個人としては、上記の③の場合に該当し、賃金支払いの必要はないものと考えます。
  政府等が定めた基準に客観的に該当する以上、感染の疑いが相当程度認められるところ、安全配慮義務の観点から、会社としてそのような従業員に就業を命じるわけにはいきません。そのような場合の就労拒否を、上記②の「使用者の責めに帰すべき事由による休業」と評価することは困難であると考えられるからです。
  とはいえ②の労基法26条は労働者の生活保障という趣旨の規定ですから、その観点から休業手当の支払を命じる判決等が出ないとも限りません。この点は人によって結論が変わり得る範囲であり、裁判官によっても評価が変わり得るところだと思います。

 イ.政府等が定める基準に該当しない、自己判断である場合

  この場合、会社としては、就労を拒否して休業を命じる必要があるとまではいえません。
  ただ、「倦怠感」や「息苦しさ」などの感じ方は人それぞれであり程度問題ですから、相応の外部症状(発熱など)が認められる場合であれば、休業を命じた方が無難であるといえます。
  仮に会社が休業を命じた場合の賃金支払いは、もちろん個別の事情にもよりますが、上記②の場合に該当し、休業手当を支払わなければならないケースが多いと考えられます。

(3)従業員の同居家族の感染

 ア.信頼できる検査により従業員の同居家族の感染が判明した場合

  従業員本人に感染を疑わせる症状がない以上、休業を命じる必要はないように思えますが、新型コロナウイルスに限って言えば、その感染力が非常に強いことや無症状感染者が相応に存在することは顕著な事実として明らかですから、当該従業員も感染している可能性は非常に高いものと考えられます。
  そのため、すくなくとも従業員本人の感染が否定されるまでは、他の従業員への感染拡大防止という観点から、(2)アの場合に準じて考えるべきだと思います。

 イ.従業員の同居家族の感染が疑われる場合

  この場合、会社として従業員に休業を命じなければならないとまではいえませんから、(2)イと同様の考え方が妥当すると思います。

4.各対策における根拠規定の要否

(1)在宅勤務

 在宅勤務については、労働契約や就業規則等において就業場所が特定されていなかったり、あるいは特定されていても就業場所を変更する権限が使用者(会社)に留保されている場合(多くの場合、転勤命令の形で規定されていると思います。)は、会社から一方的に命じることが可能です。
 仮に労働契約や就業規則等において就業場所が特定されており、かつ、使用者に変更権を留保する規定等が存在しない場合(すなわち就業場所が限定されている場合)、原則として使用者が一方的に労働者(従業員)の就業場所を変更することはできません。
 しかし、自宅を就業場所とする場合に限って言えば、そもそも通勤の必要がなくなるという労働者の義務を免除する効果を有するものですから、労働者の不利益にならない限り、労働契約や就業規則等に特段の規定がなくとも、業務命令としてなし得るものと考えられます。

(2)休業命令

 休業命令(就労拒否)は、労働契約や就業規則等に特段の規定がなくとも業務命令としてなし得るものと一般に考えられており、同旨の裁判例もあります。

 (3)休業手当の支払

 休業手当は労基法26条より生じる権利であるため、労働契約や就業規則等に特段の規定がなくとも労働者に当然に認められる権利です。
 なお、労基法には「平均賃金の百分の六十以上の手当」と定められているため、労働者が賃金の60%を超える金額を請求する場合は、その根拠となる特段の規定等が必要です。使用者側から賃金の60%を超える金額を支給するについては専ら労働者にとって有利なものですから、特段の規定等がなくても問題ありません。

5.会社における労務管理上の注意点

 会社としては、従業員に対し、本人及び同居家族に一定の症状が出た場合は直ちに会社へ報告するよう義務付け、報告窓口を設置し、情報を集約することが大切です。報告基準とすべき「一定の症状」は、政府が定める受診等の目安の基準よりやや緩やかなものが良いと思います。
 そして報告があった従業員の動向をフォローし、症状や感染の疑いの程度によって休業を命じるか否かを判断するべきです。

                                                        弁護士 白井一成

update : 2020/04/16 | コラム

緊急事態宣言を受けて

 2020年4月8日より大阪府下において緊急事態宣言の効力が生じますが、緊急事態宣言下におきましても、当事務所は、緊急時における法律事務所としての使命を果たすべく、継続して業務を行います。
 状況に変化が生じた場合は追ってお知らせいたしますが、当面の間は、従来どおりご利用いただきますようお願いいたします。

                                                     渡辺橋法律事務所 一同

update : 2020/04/07 | お知らせ

改正民法1 -消滅時効-

 2020年4月1日より、改正民法が施行されました。
 重要なポイントは多々ありますが、本コラムでも「改正民法シリーズ」として、根本的に大きく変わった箇所を中心に少しずつ取り上げていきたいと思います。
 第1回目は、社会的に最も大きな影響を及ぼす改正点であろう「消滅時効」についてです。


1.消滅時効の期間

 多くの人が「10年たてば時効で消える」とか「時効は10年」という言葉を聞いたことがあると思いますが、今回の改正で、この言葉は「5年たてば時効で消える」「時効は5年」に代わることになるでしょう。
 これまでの一般的な債権の消滅時効は「権利を行使することができる時」から「10年」とされており、会社や商人による取引(商事取引)によって生じた債権の場合は、この10年が「5年」(商事消滅時効)とされ、また特定の債権についてはさらに短い期間が設定(短期消滅時効)されていました。

 しかし今回の改正で、従来どおりの「権利を行使することができる時」から「10年」での権利消滅に加えて、「権利を行使することができることを知った時」から「5年」での権利消滅も規定されることになり、商事消滅時効及び短期消滅時効の規定がなくなりました。
 特殊なケースで取得した債権でない限り、ほとんどの債権者にとっては「権利を行使することができることを知った時」と「権利を行使することができる時」は同じですから、消滅時効の期間が原則として5年になった、といっても過言ではありません。
 2020年4月1日以降に生じる債権については、「時効は10年」と思って5年以上権利行使を怠っていると、いざというとき時効で権利が消滅していた、という事態になりかねませんので、十分な注意が必要です。

 なお、これまで不法行為による損害賠償請求権の消滅時効期間は一律「3年」とされてきましたが、今回の改正により、「人の生命又は身体を害する不法行為による損害賠償請求権」については、消滅時効期間が「5年」となりました。
 これにより、たとえば不貞行為(不倫)による慰謝料請求権は3年で時効消滅するのに対し、交通事故(人身事故)による慰謝料請求権は5年間消滅しないなど、同じ慰謝料請求権でも時効期間に違いが生じるようになりましたので、注意が必要です。

 また、民法改正というテーマからは外れますが、社会的に大きな影響を与える時効期間の変化というテーマでいうと、2020年4月1日から、労働契約における賃金請求権の消滅時効期間が「2年」から「3年」に変わりました。
 これまでの未払賃金請求(要するに残業代請求)事件で請求できる賃金(残業代)は過去2年分だけだったのですが、今後、過去3年分の請求が可能になります。

 なお、年次有給休暇の消滅時効は「2年」のまま据え置かれていますので、「年間有休日数20日×消滅時効5年=100日有休」は実現しませんでした。


2.時効の「更新」と「完成猶予」

 これまでの民法では、時効は、「請求」、「差押え、仮差押え又は仮処分」又は「承認」によって「中断する」と規定されており、法律に触れたことのない人からみれば、何のことかさっぱりわからないような規定ぶりでした。
 これら、いわゆる「時効中断事由」と呼ばれていたものを、新民法では新たに整理し直し、「中断」という効果も、「更新」と「完成猶予」に分けて規定しています。「完成猶予」とは、読んで字のごとく、その間は時効が完成(成立)しないという意味であり、「更新」とは、その時点から新しく時効期間がスタートするという意味です。

 新民法では、時効の「更新」事由は以下のとおりと規定されています。
  ①裁判上の請求
  ②支払督促
  ③調停
  ④破産手続参加、再生手続参加、更生手続参加
  ⑤強制執行
  ⑥担保権の実行
  ⑦形式競売
  ⑧財産開示手続
  ⑨承認

 これまで時効中断事由とされてきた仮差押え及び仮処分は、「完成猶予」の効果にとどまることになります。

 「完成猶予」の効果を持つものとして、ほかに「催告」「協議を行う旨の合意」が規定されています。
 後者は、新民法で新たに創設された完成猶予事由であり、「権利についての協議を行う旨の合意が書面でされたとき」は、合意の時から一定の期間、時効が完成(成立)しない、というものです。
 これまで弁護士同士の交渉の場面などにおいて稀に利用されていたものが明文化されたもので、一般の紛争当事者がこれを積極的に利用する場面はそう多くないと思います。しかし、上記「書面」には電子メールなども含みますので、完成猶予事由と知らないままに、相手とのメールでのやりとりの中でこの合意を成立させてしまっていてる、という事態は十分起こりうることですので、早く消滅時効を完成させたいと考えている債務者側は特に注意が必要です。

                                                        弁護士 白井一成

update : 2020/04/01 | コラム

冬季休業のお知らせ

誠に勝手ながら、令和元年12月28日(土)から令和2年1月5日(日)までを冬季休業日とさせていただきます。
期間中、ご不便をおかけしますが、何卒ご理解のほどよろしくお願い申し上げます。

                                                      渡辺橋法律事務所 一同

update : 2019/12/27 | お知らせ

11月12日(火)73期司法修習生対象事務所説明会のご案内

令和元年11月12日(火)の事務所説明会は終了いたしました。

update : 2019/11/05 | お知らせ

11月1日(金)73期司法修習生対象事務所説明会のご案内

令和元年11月1日(金)の事務所説明会は終了いたしました。

update : 2019/10/26 | お知らせ

10月26日(土)73期司法修習生対象事務所説明会のご案内

令和元年10月26日(土)の事務所説明会は終了いたしました。

update : 2019/10/15 | お知らせ

それ、本当に商標権侵害ですか?(2)

 自分の社名や商品名として用いていた名称が、自分の知らないところで誰かに商標登録され、権利者から商標権侵害を主張された場合、直ちにこれに従う必要があるかというと、必ずしも従わなくてよいケースが多々あります。

 以前のコラムでは、それが商標的使用なのかどうかを検討すべきである、という内容をとりあげましたが、今回は、同様のケースで検討すべき先使用権について取り上げます。

 先使用権(商標法32条)とは、簡単に言えば、当該商標が出願された頃から同商標を使用しており、そのことが需要者の間で相応に広まっていた場合は、仮に他人に商標登録されてしまっても、そのまま継続して使用し続けることができる、というものです。

 商標の出願時期より“先に使用していた者”を保護する規定ですが、単に先に使っていたという事実だけでは足りず、「需要者の間に広く認識されている」ことが必要であることがポイントです。
 この「広く認識されている」というのがどの程度で足りるのかは、その商品や役務の内容によって変わりますので一概に言えませんが、だれしもが知る存在である必要まではないため、たとえ中小企業の名称や商品名であっても、普通に社名や商品名として使用している場合、検討してみる価値は十分あります。
(もちろん、一番の対策は、名称の使用を開始した時点で、先ず自分で商標出願することですが。)


 近年、相手に商標権を買い取らせる目的で、相手が使用している名称を“後出し”的に商標登録し、相手に警告書を送り付けるという事案が多数確認されています。

 実際、当事務所でも多くのご相談を受けました。そして多くのご相談者様が、警告書に従って商標権を買い取ったり、名称を変更したりしなければならないと考えていました。
 他人によって正式に商標登録されており、かつ、登録された商標を自分が使っていることは明らかなわけですから、そう考えてしまうのも無理はないことではあります。

 しかし、私の感覚では、ご相談を受けた事案のほとんどが、前述の商標的使用に当たらないケースか先使用権が認められ得るケースであり(中には、ほかの弁護士に相談したところ商標権侵害にあたると判断されたと言っておられた方もいましたが)、実際にその旨を回答すると、権利者はそれ以上何も言ってこなくなる、ということが多かったです。

 このような警告書が来たとしても、すぐにあきらめずに、まずは知的財産権を理解している弁護士等にご相談されることを強くお勧めします。

                                                        弁護士 白井一成

update : 2019/09/27 | コラム